なぜ絨毯?


こうやって絨毯について調べ始めたり、いろいろな絨毯が手元に
集まって来たりしたのは、実はこの数年のこと。
ただ手織り絨毯というものに興味を持って、
最初に買ったのは、かれこれ20年ほど前の高校時代だった。

そもそも絨毯に興味を持つきっかけは何だったかなと、
ブログを書き始めてから考えていた。

初めて買った手織り絨毯は、淡いピンクとベージュ系のパキスタン絨毯。
近所の家具屋さんのセールチラシに載っていたのを見て、
手織り絨毯がそれほど高くない値段で買えると知って、
(たしか8~9千円と高校生には高額。)
学校帰りに玄関マットサイズのものを買って抱えて帰ってきた。
その時のことはよく覚えている。
今はすでに手元にないけど、捨ててしまったのかは記憶にない。

実家にあったとかではなくまったくの自分の興味で、
今考えると不思議な高校生だけど、その時は何も違和感なく、
手織り絨毯にすでに憧れがあったから、きっかけはもっと前だったはず。

昔からインテリアというか、家具や雑貨が好きだった。
当時は巷で流行っているインテリアと言えば、
アメリカンカントリー調の家具とか、
シェーカー家具にパッチワークのキルトとか、そんな感じの時代。

本に載っているパイン材の棚が自分で作れそうと思ったら
設計図を描いて、ホームセンターで木材を買って、家のジグソーで加工、
サンドペーパーをかけ、金づちと釘で組み立てて、扉には蝶番。
アンティーク調にオイルステインを擦り込んだり、かなりこだわって作った。
カーテンは生地を買って縫ったり、窓枠をペンキで塗ってみたり。

たしかそのころに近所に素敵な雑貨屋さんがあって、
そこでインド製のカシミール刺繍の青いラグマットを買ったことがきっかけかもしれない。

手製のものの味わい、化繊でないウールの質感、
敷いた時の存在感、そこからさらに手織りに興味が向いていったような。


日曜大工、絵を描くこと、お菓子作りも好きだったけれど、
もう少し一般的な手芸(手編みのマフラーとか)はしなかった。
何かを作るなら素材の段階から関わりたくて、
マフラーを編むならできれば毛糸を紡ぐところから…。
手芸でなく職人ぽい方向。

遡ると幼い頃、ぬいぐるみはリアルで本物に近い色や質感のものが好きで、
ディズニーやサンリオのデフォルメされたキャラクターには興味を持たなかった。
より動物っぽい質感、本物らしいものへ。

手織り絨毯への興味は、なんとなくそういう感覚の延長上にある気がする。

ただ冒頭に書いたように、絨毯に本格的に関心を持ったのはここ数年内。
たまたま安く購入した少し大きめの絨毯を敷いたときの雰囲気の良さに
驚いたことがきっかけになった。
トライバルラグの存在や、古いペルシャ絨毯の美しさ、
欧米での扱われ方、地域や部族ごとの特色や分布範囲なども。
(広く浅くで、とても専門の方のような知識はありません...。)

羊の毛を刈り、染色して、紡いで、織る。
何千年も前から人が当たり前に作ってきた実用品であり、
必要に迫られて生まれたものでありながら、多様で感性豊かで遊び心があり、
洗練され、しかもそれは平面の絵画であり、デザインであり、
触れられるアートであるということ。
肌触りは動物そのもので、見ても触ってもほっとするようなところがある。
(この場合、ペルシャ絨毯よりもトライバルラグをイメージ。)

先日ご紹介した絨毯織りの先生のワークショップで習って、
その後にオリジナルで自作してみた絨毯。
(デザイン画なしの行き当たりばったりで。)

手のひらサイズ10㎝強の毛糸玉でしかないけれど。
こんなサイズでも絨毯の作りの基本的な部分は理解できて、
いかに織りが手間のかかるものなのか、
その片鱗だけでも感じることができた。本当に手間がかかります...。

裏側。馬、のつもり。。目が粗いのでなんだかわからず。
ダブルノットで織っています。




表はもっとわからない...(笑)。




2枚目の絨毯を買うのは1枚目から数年後、
不思議なめぐり合わせで、家具屋で絨毯を取り扱っていたことがあった。
とはいえ、その2~3年間で自分用に買ったのはやはりパキスタン絨毯の小さな1枚。
これは今も現役で時々玄関マットに使っている。
パキスタンでも目の細かい、質のいいもの。
10年やそこらではまったく傷みのない状態。手織り絨毯は一生ものだなと思います。

写真。以前に撮ったものなので、またあらためて載せなおすかもしれない。



ところで、パキスタン絨毯について。
総合家具店等に売られている手織り絨毯といえば、今でもパキスタン絨毯が多い。
パキスタン絨毯は、ほとんどがギュルという家紋のような紋章が織られていて、
同じようなデザインなのですぐわかる。
多くは艶出しのためケミカルウォッシュ加工されて、テカテカと光っているけれども、
絨毯を見慣れてくるとそこに少し違和感がある。

価格的にペルシャ絨毯よりも安いこと、
品質やデザインが一定で、深い知識がなくても販売しやすいことが
多く売られている理由なのかもしれない。
同じ手織り絨毯で、なぜ安いかという部分については、
同じデザインを量産しているから、農耕民族が農閑期に作っているから、
物価の問題、などいくつか理由を聞いたことがあるが、
すべてが当てはまるのか、正確なところはわからない。

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