絨毯好きのつどい Part2


連休初日の土曜、絨毯・キリムコレクターのTさんのお宅に絨毯好きな方々が集まって
コレクションの鑑賞会が開かれました。
(Part1はトライブさんのウェアハウスで開かれたこちら。私が勝手に名付けたもので正式名称ではありません。。)

Tさんのブログです。
My Favorite Rugs and Kilims  好きなもの ずうっとながめていたいもの

ブログで以前から拝見していてたのですが、今回実物を見せていただけるということで
とても楽しみにしていました。

そして実際に、想像以上の質量とバリエーションで、本当に素晴らしいコレクションでした。
100年を超えるようなアンティーク、天然染料の色にこだわって集められた絨毯・キリムたちは、
畳んだ状態でも何か重厚なオーラを放っていました。
専門書や博物館クラスのものが次から次へと広げられて、それを専門家のように詳しい方々が
次々解説してくださるというなんとも贅沢な会です。

Tさんのすごいところは、審美眼と勉強熱心さ、豊富な知識に加えて、
それをブログやこういった場で共有してくださるところ。とても明るくサービス精神豊富な素敵な方です。

私が持っていてブログでご紹介している絨毯には古い絨毯もいくつかありますが、希少価値の高いものはありません。
なので、Tさんの絨毯を写真でいくつかご紹介させていただいて、
アンティーク絨毯の素晴らしさを、少しでも感じていただければと思います。
(それぞれTさんブログへのリンクも貼らせていただきますので、詳細はぜひそちらに。)


ブログで拝見していて、ぜひ見たいとお願いしたイランのビジャーの絨毯。
ブログはこちら
「部族絨毯」「村の絨毯」「工房の絨毯」「宮廷の絨毯」
現在のビジャーの絨毯は、「鉄の絨毯」と言われ、重さと堅牢性のイメージだけが強い、
少々地味目なものが多いのですが、この色鮮やかさとユニークさ!
これ本当にすごく好きです。




先日の絨毯のつどい(これは勝手に命名しました...)で、新たにコレクションに加わった、
ハムセの絨毯。ブログはこちら。
ハムセの「5×4.5」ボテ アンティーク絨毯
「ものすごいオリジナリティのあるデザイン!」と思っていたら、Tribal Rugsという本(私も持っています)に
そっくりなデザインが紹介されていて、そういうデザインを探していたというTさん。
さすが。探している人のところにたどり着くようにできているみたいです。
それにしてもやっぱりものすごくユニーク。ボテ(ペイズリー)の中にボテ。生き物っぽい...。



モチーフ満載、光り輝くようなカシュガイの絨毯。なんと150年ものとのこと。
ブログはこちら。
カシュカイ アンティーク 幸福のラグ
いつまでも見ても見飽きないデザイン。
特にサブボーダーのグリーンからブルーへのグラデーションのような変化がすばらしい。



ブルーが素晴らしいTIMURIの絨毯の一部。エレクトリックブルーというそうです。
ブルーをできるだけ再現したくて、暗めのアップの写真になりました。高貴な静けさが漂うような絨毯です。
ブログはこちら。
Baluch Timiri antique Main Carpet



どれも本当に希少なコレクション。博物館ならお金を払って何度も見に行きますよ...。

今回、あらためて感じられたことは、特別魅力的な絨毯・キリムというのは、やはりどこかに意外性、遊びがあるということ。

上手な織りや質のいいウール、美しい色合い、個性的なデザイン。
良い絨毯を説明するにはそれだけでは足りなくて、整った中にあるどこか完璧じゃない部分、
奇妙なズレ、きまぐれにも思える色柄の変化や、左右非対称など、どこか引っかかる部分がある。
それらは偶然のように見えるけれども、実際は(無意識なのか意図的なのか、
体に流れる血によるものなのかわからないけれども)確かに計算が存在する。

なぜいいのかと言葉ではうまく説明できないし、農耕民族日本人には正しく理解はできないかもしれないけど、
絨毯から感じる遊牧民の美的感覚は民族を超えたもっと根本的な部分で共有されているという感じがする。
(つまり良いものは世界共通。)

「ここでなぜ突然色を変えたのだろう?」
「なぜ、左右のデザインが違うのだろう?」
「この謎の生物のようなものは何?」

頭で考えると「なぜ」が浮かんでしまうけど、一緒に参加された絨毯織りの先生のTさんは、
(どちらもTさんでわかりにくいのでこちはT先生に。)
「ここは同じだとつまんなくなっちゃうからこうしたんだと思いますよ。」
と、感覚で感じ取る。
理屈から入らずに、感じた通りに受け取ればいいのだなと思いました(考えてもわからないし)。

絨毯のパイルの結びは「トルコ結び」「ペルシャ結び」などと分類されていて、
どちらが丈夫かとか起源が古いとかで競ったりしているけれど、
それもT先生いわく、トルコのウールは張りがあってひねりをきかせるペルシャ結びができないそうで、
必然的にトルコ結びを選択しているのではないかということ。
なぜかと考えてたら出てこない、T先生のように手を動かしたらすんなりとわかる事実もある。

素晴らしい美術品をたくさん見て、頭も心も豊かになった密度の濃い1日でした。
Tさん、素敵な会をありがとうございました。

3 件のコメント:

  1. 先日は絨毯好きのみなさんとワイワイ楽しく絨毯をながめながら感想を交換でき、とても楽しい時間を持つことができました。ありがとうございます。
    「特別魅力的な絨毯というのは、整った中にあるどこか完璧じゃない部分がある」……ホントにそうですよね。
    たぶんこれはトライバルラグだけではなくて、有名なアルデビル絨毯やチェルシー絨毯のように一見完璧に見える絨毯でさえ、微妙な色むらだったり、かすかな線のうねりだったり、絶妙の「ひねり」が効いているのではないかと想像しています。
    見ていないのにこんなことを言うのは無責任なので、たくさんの実物を見なくては……
    これからもステキな記事を楽しみにしています!

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  2. TAIさん、ありがとうございました。ほぼ丸一日...あっという間でしたね。あれだけの数で粒ぞろいなのが本当に驚きでした!
    考えてみれば3年くらい前から「この人すごいなあ」と思って読んでいたブログ。その方のおうちで実物の絨毯を見るというのは、本当に不思議です...。

    日本人も左右対称はあまり好まないはずですが、絨毯のあの自由さは理解不能。。理解しなくていいんだ、と開き直ることにしました(笑)。

    アルデビル絨毯、いつか見てみたいですね。
    うちにおかしなアルデビル(産)絨毯があるので、今度載せてみます。
    新しいもので色ムラもない化学染料バリバリなんですけど、ポップでかわいいんです。

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